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2009/10/05

剱岳(後編)2~3日目

前回紹介したように、室堂から立山三山経由で剱沢に入り、ここのキャンプ場に幕営して剱岳に挑んだ。当日は前日のガスが嘘のように消え、快晴になった。山頂からの眺望も期待できる。
Tsurugi_sawa_camp
日の出の頃に起き出して朝食の準備を開始し、食事を済ませて少しゆっくりしたところでいよいよ出発である。剱岳アタックにはデイパックだけ背負い、他の荷物は全て剱沢のテントに置いて行く。
剱岳には一旦剱沢を下まで降りてから、剣山荘~一服剱~前剱~門~平蔵の頭~剱岳という行程で登る、いわゆる立山ルートを辿る。このルートは「剱岳・点の記」の中では尾根線が余りに長く(資材を運ぶには)現実的ではないというのと、頂上の目前で越すに越せない大岩(今のカニのタテバイだろう)に阻まれて撤退するというシーンが登場するが、現在では剱岳登頂へのメインルートになっている。
一服剱までのルートは比較的歩きやすい山道を辿る。周囲にはお花畑も多く、岩桔梗や写真のハクサンフウロ、ヤマユリ、トリカブト(!)などが多く見られた。
Dsc00514 Dsc00518 Dsc00516

高山植物のお花畑を楽しみながら登山道を辿るうち段々と勾配も付いてきて高度が稼げるようになってくると最初のクサリ場が出てくる。これを超えれば一服剱の山頂だ。朽ちかけた木の標識が一服剱のピークであることを示している。ここまで来ると前剱が近すぎて剱岳のピークは隠れてしまう。勾配のきつく荒々しいガレ場が前剱の厳しさを示しているが、これは慎重に一歩一歩進んでいけば着実に越えられる。と自分を鼓舞して前に進む。
Ippuku_maetsurugi

一服剱のピークを一旦(もったいないくらい)下って尾根線を進むと前剱の取り付きである鞍部に出る。ここから山頂近くまで胸を突くような急な、しかも歩きにくいガレ場が続く。どちらを見ても同じようにガレた石がごろごろしていてルートを見失いやすい。ルートをそれるとさらに登りにくくなるので注意が必要だ。これを越えると山頂手前に少し広場があって休んでいる人もいる。それを通り過ぎると前剱のピークだ。登山道はピークを西側にトラバースしてしまうので道をちょっと逸れて山頂を見に行く。山頂にはステンレスの標識が立っている。
Maetsurugi

振り返ると剱沢が見える。勾配がきついので経過時間の割にかなり高度感がある。剱御前から別山、そして立山三山まで、今まで通ってきた山々が一望出来る。
Mae_tsurugi_tsurugi_sawa

ここから剱岳のピークを望む。平蔵の頭の大岩が陰になって最大の難関が隠されている。ここから見ると不思議と剱岳に何とか登れそうな自信が沸いてくる。
Maetsurugi_peak_2

やや長い休憩の後に再度ピークを下って剱岳を目指す。

Mon1
前剱を下って最初の難関が「門」と呼ばれるクサリ場だ。ここは稜線に巨大な岩が行く手を阻んでいて、20cmくらいの岩の出っ張りを足掛かりに垂直な壁を横這いして進まなければならない。写真を良く見ると人が壁に張り付いているのが分かるが、落ちたら無事では済まない高さである。

Mon_down
大岩を東側(剱沢側)に避けてしばらく行くと、クサリ場の下りがある。さらにクサリ場を越えると、やっと難所を通過できた。思わず振り返り、自分の来た道の険しさを確認する。
Mon_back

このような岩場を東側にトラバースしながらさらに進んでいく。足のすくむような高さだが足場はしっかりしているので恐怖感は余りない。
Heizo_w
平蔵の頭を超えると、いよいよ最大の難所、カニのタテバイだ。

Tatebai
人が登っているのが見えると思うが、ほぼ垂直な岩場を20m程度よじ登る。岩に取り付いてみると案外足場はあるもので、上だけ見ている分には登れるものだ。しかし下を振り返ってはいけない。途中に幅20~30cm程度の広い足場があり(この日は空いていたので)小休止できる。左手に目をやると、下り道になっているカニのヨコバイが見える。
Yokobai_w
せっかくなので下も見てみる。写真なので高低差が分かりにくいが、人がいるのがわかるだろうか。見たことを後悔する光景だ。
Tatebai_down_w
ここからは岩の裂け目のようなところをよじ登っていく。ここから先はクサリもないが、クサリに頼ってしまうと却って危険なのかも知れない。
Tatebai_up_w
大岩に挟まれた小路を上がれば難所は終わりだ。今来た難所を上から眺めると、良くこんなところを登ってこれたものだと思った。
Tatebai_top
カニのタテバイを超えると広いガレ場に出る。剱岳の頂上は緩やかなガレ場になっている。

Nearpeak
ここまで来れば頂上は目前だ。ガレ場を一歩一歩着実に進んでいく。暫くすると稜線に祠の屋根が見える。その先が絶頂である。

Peak_kashima
ついに剱岳の絶頂を極めたという満足感が体中を駆け巡る。そしてこの日は素晴らしい晴天で、その眺めも格別であった。上の写真は東側を撮ったもので、少し遠くに鹿島槍から白馬までくっきり見える。
Peak_harinoki
少し右手に目をやると、別山から立山三山が見える。少し左側の一際尖った形の山が針ノ木岳だ。真下には黒部ダムがある。写真中央に金属プレートがあるが、これは源次郎尾根の方角を示すものだ。一般登山者は立ち入り禁止となっている。
Peak_tyojiro
源次郎尾根の左手のガレ場は長次郎谷へと続く。こここそが柴崎測量隊が初登頂を成したルートである。谷の名前の由来はもちろん案内人の宇治長次郎である。
Peak_yatsumine
長次郎谷の左手には八ツ峰が伸びている。こちらも一般登山者にはとても無理。

Sankaku1 Sankaku2
そして今回の登頂の目的がこれ。三角点を自分の目で見るというものだった。ここにある三角点は2004年8月に設置された三等三角点である。もちろん点の記も記されている。そして、三等三角点の設置により剱岳の標高は2999mであることが確定した。柴崎測量官の四等三角点設置から実に100年の月日が経っているが、このような経緯を知れば感慨も大きい。

Peak_shrine
そして山頂の祠に合掌する。この祠は昨年の夏に新しく作り直されたそうである。

Ippuku_fin
しばらく山頂に佇んで登頂の充足感を味わった後、下山した。一部の一方通行路(カニのヨコバイ、門)を除けば来た道を引き返すだけであるが、下りは登りよりも慎重さが必要だ。特に危険を感じることはなかったが、前剱まで降りてきて、やっと生きた心地がした。やはり死の山、登ってはいけない山と恐れられていただけのことはあると感じた。

Murodo_nokkoshi
この日は再び剣山荘経由で剱沢キャンプ場に戻り一泊した。翌日は再度剣山荘から黒ユリのコルを越えて剱御前の中腹をトラバースして雪渓やお花畑をのんびり楽しんだ後、別山乗越から新室堂乗越、雷鳥沢キャンプ場へと降りた。
帰りがけにはみくりが池の温泉に浸かってきた。この温泉から見る山々も素晴らしいものがある。硫黄泉の白濁した湯は登山の疲れを癒してくれた。

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コメント

トラックバック、多謝!です。懐かしく剣岳周辺の写真を楽しませていただきました。高所恐怖症気味なので下りが難しいことがよくわかりました。以前チャレンジしたのは20代、30代でしたが、もう歳(54歳)だし、無理はしないことにしました。ありがとうございます。快晴の剣よかったですね。

投稿: こん | 2009/10/05 08:54

キャンプ場まで引き込まれるようにみてしまいました。
こうしてみているだけでも、厳しく険しいようすが伝わってきます。
無事に戻れたことにほっとしてしまいました。

剱岳のこのエントリも力が入っていますね。
ため息ものです。
お疲れ様です。(v^ー゜)ヤッタネ!!

投稿: yumamiti | 2009/10/05 22:38

剣岳に登られたんですね。

まだ観ていませんが、最近映画になった山ですよね。
私の登山歴といえば・・・中学の時に強制で八ヶ岳、高校の時も強制で白馬に登らされました。^^;
山頂の景色は綺麗なんだけど、やっぱり登山は怖いというイメージがあります。

投稿: pyoinpin | 2009/10/07 11:00

>こんさん
コメント有難うございました。
私見ですが、50代ならまだまだ問題ないと思いますよ。もっともっと御歳の人も山頂にいらっしゃいました。慎重さを失わなければ大丈夫だと思います。でも高所恐怖症の人にはおススメ出来ないかな。。。

>yumamitiさん
有難うございます!!
憧れの山だったので、力が入ってしまいました。

>pyoinpinさん
お久しぶりです!
八ヶ岳も白馬も登りました。
学校で登るんですか。
富山人と話していたら、立山には全員登るんだそうです。すごい。。。

投稿: のりっく | 2009/10/10 23:51

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