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2009/09/18

剱岳(後編)1日目

前編で紹介したように、要は映画に影響されて剱岳に行ってみたくなったということで久しぶりに山に登ってみたということであった。ところで映画のタイトルは「劒岳」であるが地図などでは「剱岳」と表記し、地元もこれが正しい表記だとしている。だが一般には常用漢字を当てた「剣岳」と表記するようだ。どちらが正しいのかは微妙だがここでは地元の意思を尊重し「剱岳」とする。

Flask
剱沢は雪渓もあるので雪解け水で旨い水割りを飲むべく、フラスコにはウイスキー満タンで挑む。もちろん缶ビールも冷やせるので持参の方向でsmile
剱岳は立山に位置しているので、有名な立山黒部アルペンルートを使うのが一般的だ。室堂からの登りなら乗り物でかなり高度を稼げるために多少楽である。とはいえ室堂からは尾根を一つ(別山乗越)越えないと剱岳が見えないので、取り付くまでに1日掛かってしまう。それならばついでに立山縦走をしてしまおうということで、今回は
1日目:室堂~一の越~雄山~大汝山~富士ノ折立~真砂岳~別山~別山乗越~剱沢
2日目:剱沢~一服剱~前剱~剱岳(往復)
3日目:剱沢~剱御前~別山乗越~室堂乗越~雷鳥沢~室堂
というルートでアタックすることにした。
Map

http://yamachizu.mapple.net/mt01-0057/

剱岳に登ろうと思い立った私は、夜中に中央道を飛ばして豊科ICに向かい、大町市の外れの扇沢までクルマを走らせる。夜中ならまだまだ無料駐車場も空いている。軽くビールで一杯やって始発まで寝る。朝6時くらいからトロリーバスが動き出すのだ。トンネルを走る電動バスで黒部ダムまで行き、ケーブルカー・ロープウェイと乗り継ぐといよいよ立山である。立山の主峰雄山の真下をトロリーバスで抜けると室堂だ。立山三山が一望できる。写真一番右が雄山、真中の少し高いところが大汝山、左端が富士ノ折立である。写真よりさらに左、ここをぐっと大きく下がって再び登り返すとそこが別山になる。室堂からは全く見えないがこれらの山々を超えた向こうにあるのが剱岳だ。
Murodo_tateyama
室堂から真直ぐに一の越に向かえば、良く整備された歩道を歩いて1時間程度だ。ここで小休止していよいよ主峰雄山への登りである。人も多く、標高差300m程のガレ場を一気に登るので結構疲れる。
Oyama_up
まるまる1時間掛けて山頂へと辿り着く。立山は山岳信仰で有名だが雄山はその中心であり、山頂には雄山神社がある。3003mのピークには神社を参拝料を払って参拝しないと入れないのだが、個人的にはおススメだ。ちゃんと神主さんが御祈祷をあげてくれるしお神酒の振る舞いもある本格的なものだ。山の安全を祈ってもらえば神聖な気分になること請け合いである。
Oyama_shrine

昼飯を食べて最高峰である大汝山に向かう。尾根線を歩いていくと左手に室堂、右手には1500mの眼下に黒四ダムが見える。
Oonanji_kuroyon
大汝休憩所の横から大汝山のピークへと続く小道がある。岩場を登って数分で行けるので山頂で休憩した方が気分が良い。雄山から大汝山の間では高山植物も点々と見ることができた。
Dsc00474 Dsc00475 Dsc00476

さらに元の道を進めば富士ノ折立だ。ここはゴツゴツとした岩だらけの尾根で浮石も多い。一気に250m下って真砂岳のピークへと向かう。大汝を出た頃から室堂側よりガスが出てきて、気がつけば回りは真っ白になっていた。せっかくの尾根歩きなのに眺望が利かないのは残念である。真砂岳からは長いアップダウンの後に別山のピークに到着する。ここにも小さな神社と雪解け水が溜まった硯池がある。また本来であればここからの剱岳の眺めは素晴らしいはずである。剱岳を目指す柴崎を連れた長次郎は、まずここと別山乗越から剱の南面を見せたのだ。この日の朝は久しぶりに快晴だったがその前は長くぐずついた天気であった。このまま数日ガスが晴れないかも知れない・・・などと考えていると、
Clowdy_tsurugi
今まで厚く空を覆っていた雲がすっと切れ、その間から剱岳が顔を出したのだ。しかもほんの一瞬、雲海から鋭く突き出た岩の塊が天を突いているのが見えた。カメラを向けた時にはもう再び雲が掛ってきてしまうくらい一瞬であった。
そしてその時に垣間見られたその険しさは、とても私などには登れそうもないほど厳しく見えた。立山曼荼羅に描かれる死の山、登ってはいけない山というのが分かった気がした。
ここから別山乗越に降り、剱御前小屋下の雪渓があるカールの淵を降りて剱沢へと下った。この日からここで幕営する。剱沢は水が豊富で冷たく、トイレも整備されたとても過ごし易いキャンプ場だった。もちろん目の前には剱岳が見える、はずである。

Tsurugi_sawa_camp

かくして翌日は快晴となった。そしてここに来て初めて剱岳の姿を見ることが出来た。晴天好日、夏の山。登るには絶好の日だ。

と予想以上に長文になって疲れたので、続きはまた後ほど・・・。

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2009/09/05

剱岳(前編)

今更ではあるが、この夏に行ってきた山歩きの話でも書こうと思う。
意外に思われるかも知れないが、私は学生時代から山を登り始め、若い頃はそれなりに色々な山に登っていた(※但し富士山を除くsmile)のである。リフトが掛かってなくてもテクニカルなコーナーの続く素敵な峠道が付いてなくても、山はもともと好きだったのだ。

きっかけは数ヶ月前に遡る。6月3日は「測量の日」という地味~な記念日だったのだが、国土地理院ではイベントを開催していて、地図や測量(主に昔の、であるけど)を勉強した。
A
昔は木で櫓(高覘標)を組んで、遠くから望遠鏡(測距儀)で覗いて方角を測るというかなり手間のかかる方法で測っていたのだ。歴史を紐解いてみると、伊能忠敬による江戸時代の測量事業から始まって、日本の近代化に欠かせなかった明治の測量は、国を挙げての大事業だったようだ。現代のレーザー測量やGPS測位、GoogleMapなどを彼らが見たら、どんなにか驚くことだろう。
そんな面倒な話は置いといても、国土地理院に展示されている床一面の大きい日本地図を見ながら、そういやここ行ったなーとかここって実はこんなに遠かった?とかなんでここはこんな形してるのかな?とか空想するだけで何だか楽しく、案外地図ってロマンだなぁと思ったりしたわけだ。村上春樹の「ノルウェイの森」に地図が唯一の趣味みたいな人が出てきて、みんな特攻隊長だかなんだか言って馬鹿にするくだりがあるのだが、なかなか侮れないものがあると思う。

Ten_no_ki
こんな感じで明治の地図測量にすっかり魅せられている時に知ったのが、「劒岳・点の記」という映画だ。これは、日本地図の唯一の空白・北アルプス奥地を埋めるために剣岳山頂に決死で測量に行った測量技術者達の話である。ちなみに「点の記」とは測量の基準となる三角点を設置した経緯を淡々と事務的に記した書物のことだ。理系人間としては知の探求に命を掛けて挑んじゃうようなこういう話はすぐに涙腺が緩んでしまう。お国のため名誉のためじゃないのだ。地図を作る。その地図が助けになる人達がいる。そのために命を賭けると。
Yagura
新田次郎の原作はもちろん読んだのだが、映画全編が特撮やCG、ヘリコプターからの空撮も一切なし、全て目線で実写撮影されたものだということもあり、にわか地図好きとしてはもちろんのこと、かつての山好きとしては絶対に見逃せないと思い、劇場に足を運んだのだ。地味な映画だしきっとお年寄りだらけだろうと思って躊躇もしたのだが、これは大スクリーンで見る価値のある映画だと思った。映画も良いが新田次郎原作の小説もお薦めだ。地図や三角点についての観方が変わること請け合いである。

B

で、淡々と大スクリーンに映し出される美しい北アルプスの山々を見ていたら、10数年振りに山に行きたいなぁ、テン泊で縦走とか良いだろうなぁとは思ったのだが、ずっと気になりつつも仕事が忙しかったこともありそのままになっていた。今年の夏は天気も悪かったし。しかしお盆休みのさなか、ちょうど好天が続く予報が出されたのをきっかけに、ふっと思いついて北アルプスに向けてクルマを走らせていた・・・好天吉日。登るなら今しかない。

とまぁそんな前置きを書いているうちに長くなってしまったので、山の様子は後編で。

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